ヘルシオ・ホットクックの「保温」は低温調理に応用しやすいか実験してみました、のメモ
Note: この記事を書いたとき、わたしはヘルシオ・ホットクックに「醗酵・低温調理をする」機能が備わっている事に気付いていませんでした…。完全に存在を忘れていました。と、いうわけで、あらためてヘルシオ・ホットクックで美味しいプリンを「醗酵・低温調理をする」機能で作る続編もメモに…します 👉 (鋭意プリン製造中🍮 できたらメモ書いてリンク貼ります✨) 👉 ヘルシオ・ホットクックで「保温」じゃなくて「醗酵・低温調理をする」機能で美味しいプリンを作るメモ - ごはん ときどき C++、わりとてぃーぶれいく☆
経緯
今夜もしごおわからヘルシオ・ホットクックで手抜き調理をよっこらしょ↓したところ…
いつも井澤農園でお世話になっている綾華さんから↓な感じで「低温調理系への応用どう?」的な振りを頂き、ビッグなプリンに惹かれて調べてみる事にしました。ちなみにプリンは保存食です、おひとりさまでもビッグでも大丈夫です💪(ふつーに一般家庭の趣味の調理で作るプリンでも冷蔵庫で3日くらいは"たぶん"大丈夫です。)
ヘルシオ・ホットクックの「保温」結果を測定
プリンのうんちくはさておき測ってみました。使用したヘルシオ・ホットクックは KN-HW10E
(1L型)です。
(手順)
- 札幌市中央区わがやの水道水を蛇口からじゃーっと出して、ヘルシオ・ホットクックの内釜へ「水位MAX」まで充填
- ヘルシオ・ホットクックへ内釜のみをセットして「保温」スタート
- 「保温」開始からおよそ1時間後に表面と水面と釜の温度をFLIRで測定
- 「保温」開始からおよそ2時間後に表面と水面と釜の温度をFLIRで測定
(結果)
↓参考: 「保温」開始から1時間後、蓋を閉じた状態の温度
↓結果①: 「保温」開始からおよそ1時間後、蓋を開けた状態の温度。内釜表面温度≃72℃、水面温度≃68℃
↓結果②: 「保温」開始からおよそ2時間後、蓋を開けた状態の温度。内釜表面温度≃74℃、水面温度≃70℃
考察: ヘルシオ・ホットクックの「保温」と低温調理への応用性
ほぼ直熱74℃釜または水系70℃恒温槽=ヘルシオ・ホットクックの「保温モード」として考えて良さそうです。つまり…
- 温度が70℃程度とやや高いため、「汎用的な低温調理器として応用」 するのは "やや難しい" です。でも、プリンや茶碗蒸しにはちょうどよい温度かもしれません。
- お肉(牛肉から魚介まで動物肉いっぱんの意味)の調理の考察:
- 調理時間と熱伝導性を考慮しなければ、牛肉の赤身の蛋白質(≃筋原繊維タンパク質≃ミオシンとアクチン)は確実に熱変性して固くなる温度です。すじ(≃コラーゲン)も溶け出します (†1) (†2) (†3)
- Note: 牛などの畜肉もタラなどの魚やアワビなどの貝も化学的に理想的な単体としての物性ではなく"肉"の状態の物性ではおよそ (†1) にわかりやすく表示されている温度帯の変化になります。
- そこそこのブロックのお肉なら水温10℃から20℃くらいの水道水を張った中へ入れて1時間ていど保温調理すると、わりといい塩梅に表面が熱変性、内部は熱伝導性から赤身もうっすら残る "Well" くらいにできるかもしれません。
- 調理時間と熱伝導性を考慮しなければ、牛肉の赤身の蛋白質(≃筋原繊維タンパク質≃ミオシンとアクチン)は確実に熱変性して固くなる温度です。すじ(≃コラーゲン)も溶け出します (†1) (†2) (†3)
- 卵の調理の考察:
…物性と熱伝導の詳細な考察まではしませんが、ビッグなプリンの調理実験はあとでしてみようかな🍮
参考
- (†1): 第30回定期イベント 「肉と火入れの新時代」 | 関西食文化研究会
- (†2): 加熱調理の最適化を目指した物性変化の予測福岡 美香, 酒井 昇 (2015) 加熱調理の最適化を目指した物性変化の予測
- (†3): 調理科学雑感; 鈴木 たね子 (1971) 調理加工と蛋白質変性
- (†4): 卵白および卵黄の熱凝固について; 粟津原 宏子 (1982) 卵白および卵黄の熱凝固について 食塩,砂糖の添加による影響
- (†5): 鶏卵卵黄蛋白質成分の加熱変化について; 筒井知己, 小原哲二郎 (1980) 鶏卵卵黄蛋白質成分の加熱変化について
- (†6): 温泉たまごは、Q2:なぜ黄身が先に固まるの? フカベエッグ
- (†7): 完璧なゆで卵の作り方|樋口直哉(TravelingFoodLab.)|note
- (†8): プリン作り講座 〜座学編〜|樋口直哉(TravelingFoodLab.)|note