ごはん ときどき C++、わりとてぃーぶれいく☆

Wonder Rabbit Projectのなかのひとのブログ。主にたべもの。

ミモレット24ヶ月熟成

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24ヶ月熟成のミモレットは一言で言うなら「牛乳で作ったからすみ」のような逸品。塩辛さが少しきつめで、水分を含む原料をじっくりと熟成してカチコチに美味しさを濃縮したような風味のチーズです😃

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長期熟成もののミモレットをそのまま食べる場合は塩気が強いので塩加減を見て0.5mmから2.0mm未満程度の薄めにスライスするか、チーズダニの住まいに近い皮の近くは塩気が和らいでいるのでそちらの側からスライスしてつまむと美味しいです。ハードチーズにかなり近い硬さなので、削りおろしてパスタにかけたり、あるいは"耳"というお蕎麦屋さんの"からすみぶっかけ蕎麦"の真似をして削ったミモレットをお蕎麦に掛けてイタリアンパセリミニトマトで洋風蕎麦にしても楽しめます。香りは感じ取ろうとすればわかりますが、それほど強烈に広がりはしない点も料理への応用としては扱いやすいです。

冒頭で「牛乳で作ったからすみ」と紹介したように、日本酒は香り良い大吟醸から辛口淡麗までたいていのお酒とは相性良く美味しく楽しめます。ワインは相変わらず不勉強ですが、きっと大抵の方はボディーの強い赤ワインを飲みたくなると思います。お茶なら普洱熟茶など。

先日の「コンテ」とこの「ミモレット」をごはんブログに記録できました。私が世界で一番好きな「スプリンツ」も手に入ったら記録したいと思います😋

だそく: 皮

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ミモレットの「皮」は一般的には食べません。小分けにカットされたミモレットではそもそも皮はついていない事もあります。ミモレットの皮はこの記事のはじめの写真についている色がくすんでボロボロになりところどころ深い穴も開いて、そして時折チーズダニたちが暮らしている、または干からびて穴の中にそのまま転がっている、その部分です。

皮が付いている場合は食べる前にナイフで削ぎ落とします。良いミモレットは皮の近くのチーズも美味しく勿体無いので、一度に綺麗に切り落とそうとせず、何度かカットして徐々にボロボロの皮やその皮の穴の跡が残らないように削ぎ落とすと良いです。

うんちく: アナトー

ミモレットの基本的な原料は牛乳、食塩、アナトー。どうも世の中ではアナトーは危険と騒ぐ人たちもいるようですが、そういう人たちはアナトー=紅の木の赤い果実については騒ぎますが、カロテノイド全般については何も言わずに食べている方が多いでしょう。

アナトーはカロテノイドの一種です。カロテノイドは化学的にやや長い直鎖状のポリエン(炭素の二重結合の繋がった構造)を持ち、その部分の光の吸収スペクトル特性から結果的に赤色や橙色を呈色する基本的には炭素、酸素、水素からなる自然界には比較的ありきたりな物質です。

例えば、橙色の人参(にんじん)、赤色の蕃茄(とまと)、黄色の唐黍(とうきび)、黄色のマリーゴールドの花弁、黄色の金糸雀(かなりあ)の羽毛。たいていの黄色、橙色、赤色を呈色する自然界の物質は同様の構造を持ったカロテノイドによるものです。

カロテノイドは一般に生物中ではポリエン構造に由来するやや強い抗酸化作用(というと食品科学用語っぽくて胡散臭いですが、別の何かよりも先に自らが酸化されやすいために、結果的に別の何かを酸化から保護する働きがあるという事です)を持ち、たいていは重宝されています。アナトーの他にもカロテノイド類はしばしばお菓子などの着色料として使われています。

もしアナトーの化学的性質、分子構造、官能基を危険視するのであれば、ほとんどの黄色、橙色、赤色の食べ物は危険視しなければならないでしょう。カロテノイド以外にも多くの油脂類やカルボニル・・・恐らく無機物しか食べられなくなるでしょう。少なくとも1700年頃から現在、あるいはもう少し未来の地球と人類においては心配するだけ無駄な事と思います。

少し調べてみると、アナトーそのものが危険であるかのように騒ぐ人たちは水銀汚染や抽出工程での溶媒の残留の懸念を絡めてさもアナトーは危険であるかのように述べている事が多いようです。ベニノキが栽培される南米、より具体的に言えばアマゾン川流域では砂金採掘に伴う水銀汚染が深刻な問題の1つになっている事は間違いありません。そこで栽培されたベニノキの果実にもメチル水銀が濃縮されているだろうという推量なわけですね。

少し適当にググっただけですが、10年前のデータがFAOからリンクされていまして、それによるとアナトー色素の抽出処理では砒素は 3 mg/kg 未満、鉛は 2 mg/kg 未満、水銀は 1 mg/kg 未満となっています(参考5)。毎日"アナトー色素を100g食べる"となると若干危惧しますが、アナトー色素そのものをそんなに食べる機会は通常無いでしょう。まだキンメダイのお刺身を毎日100g食べる方が水銀汚染について遥かに懸念しなければならない程度の話です。それにしたって毎日キンメダイのお刺身を100gも食べる人もそうそう居ないでしょうけれど。なお、キンメダイやメカジキ、一部のサメ類からの水銀汚染については厚生労働省が特に妊婦に対してそれらの摂取は200g/week以下にする事を推奨する文書があります(参考6)。

また、USAではミモレットの輸入を禁じた事がありますが、そちらは水銀汚染とはまったく関係無く、FDAがチーズダニが多く付きすぎている(それ自体は人体に例え食べたとしても害は無い事になっています)ことに厳密な基準の準拠を求めた、なんとなく政治的な理由や特に意味は無いがルールだからと厳格に突然守ろうとした事件だったようで、ミモレットが何らかの危険性によって輸入を停止されたわけではなかったようです(参考7)。

そういうわけで、ミモレットや、アナトーを使ったお菓子を危険視する事は突然太陽が暴走して地球が消滅するのではないか、突然地上にブラックホールが出現して地球や太陽系は消滅するのではないか、今晩UFOが来て攫われて人体実験されて二度と鮨を美味しく食べられない身体にされてしまうのではないか、そんな事を心配する程度にはどうでもよい懸念だと、少なくとも現時点では言えると思います。

ちなみに特に触れませんでしたが溶媒の残留についても同様です。中国産なら不安な気もしますが、中国でミモレットを食べるわけではありませんし、例え中国産でも日本へ輸入して商業的に販売されるものが直ちに危険な汚染を受けているという事は日本の検疫を信頼する限り心配無いでしょう(参考9、参考10)。

参考

  1. Mimolette — Wikipédia
  2. Mimolette vieille - Émilien, Le fromage pour passion
  3. 手打ちそばと料理 耳「居心地の良いお店、耳。お蕎麦を美味しく楽しんで、お...」:すすきの
  4. http://www.fao.org/home/en/
  5. 魚介類に含まれる水銀について|厚生労働省
  6. Les Etats-Unis bannissent la mimolette - Le Parisien
  7. 肉製品などのおみやげについて:動物検疫所
  8. 乳製品の検疫開始について:動物検疫所
  9. 肉製品などのおみやげについて:動物検疫所